◆武者走りが中央部分より低くなっている どうして?
これもガイドを始めた頃に持った疑問。 場内の案内には中央部より低くなっている、そして他の階の武者走りより少 し広い... そのまま読むと「意図的に低くなっており、ここだけ他よりも広くなっていて、戦いになったとき武者が動 きやすい」という印象を受けるが、戦いやすさだけを考えれば、段差があったら動きにくいし、広いと言ったってほ んの10数センチのこと意味がないように思われた。 そこで研究員の方に聞いたら「武者走りが低くなっているのではなく、中央部分(16本の支持柱に支えられた部 分)が高くなっている」それは構造上のことです。
少し検証してみました。 松本城の重量の大部分は16本の支持柱で受ける設計になっています。 そして天守一階の柱は16本だけでは なく、支持柱に真上にない柱の加重を支持柱に伝えるために梁を何段か重ねる必要がある。 そのためにその重ね
た分だけ高くなっています。
ここからは推測ですが
強引に床面の段差をなくそうと思えばできたはずですが、そうすると
中央部分の地盤を石垣の上面より低くしておかねばならず、 そうすると雨水がたまりやすくなる、 石垣背面の強度が減る
地盤を低くしないと梁が地中に埋まり、 腐りやすくなる
また構造的にもいちばん外側の柱と中央部の一体性が減り、 構造的な弱点になり得る。
そんな不都合をとるより現在のような方法をとったと思われます。 これも支持柱の設置という松本城の構造上の 特異性だと思います。
6階天井の構造をを少し考えてみた。 実際にはこんなに単純ではないと思うが、 大まかに二つの部分に分けられるのではないか?赤線の右側①の部分とその左側②の部分 ①の重量は主に内側の柱で支え、②の部分は①に桔木を引っかけ「てこの原理」を利用し、①の重量で支えられている。 配 分は②の重量の約70%の加重は外側の柱で支え、残り30%は1の部分の重量で支えている。 (別の言い方をすれば①の 部分をその30%の力で持ち上げている結果になり、内側の柱にかかる重量を減らす結果になる。
全体の言い方を変えれば6階部分の屋根の重量を単純な構造で内側、外側の柱に分散し、また各木材の断面を小さくでき るため、屋根の重さの軽減につながっている。 合ってるかなぁ?